当院の内視鏡ラインアップです。
黒矢印: 大腸内視鏡
白矢印: 経口内視鏡
赤矢印: 経鼻内視鏡
ちなみに経口はもう一本常備してます。
こうして見ると、経鼻は細いですね。
当院では平成 18 年 12 月より経鼻内視鏡を導入しています。
私が着用しているネクタイと比べていただければ、その細さがわかると思います。
男性なら楽々挿入できます。
経鼻は先端径 5.0mm、最大経 5.5mm です。
鼻孔入り口では、まず鼻毛が観察されます。
そもそもスコープが舌の根元(舌根)に触れることで、咽頭反射(嘔吐感)が起こります。
鼻からの挿入でこの問題が解消しました。
スコープは従来の約半分の細さです。
さらに、鼻に適したしなやかさでむりなく、スムーズな挿入ができます。
鼻への麻酔も微量で、身体への負担が軽減されます。
患者さんは、モニターに映し出される自分の胃の映像を見ながら、私にその場で質問ができますし、検査中に何か異変を感じればそれを検査医に訴えることもできますから、安全な検査につながります。
この後の観察経路はポラロイドで撮影しましたので,それに沿って解説いたしましょう。
左上: 右鼻孔から挿入しています。左側の壁が鼻中隔、中央凸部が下鼻甲介です。下鼻甲介の下端に沿って挿入しておりますが、中鼻甲介下端に沿って挿入するほうが多いです。
右上: 既に後鼻腔付近です。もうすぐ鼻腔を抜け出すところです。
左下: 中~下咽頭。
右下: ぽっかり開いてるのが声帯です。
声帯の下をくぐれば、食道入口部で、あとは経口内視鏡と何ら変わりはありません。
経鼻内視鏡が活躍した症例を呈示します。
中年女性が腹痛で来院されました。
以前、他院の経口内視鏡で嘔吐反射が非常に強く、その後、内視鏡嫌いになったと。
こんな時こそ経鼻内視鏡の出番です
左上: 胃体中部の後壁(=背中側)から少し出血してます。実はこの画像、既に内視鏡治療後です。ある物体を鉗子で把持してます。
右上: 奇妙な白い物体です。
左下: 静止画だからわかりませんが、にょろにょろ動いてます。
右下: アニサキス症でした。
鯖には、時にアニサキスが寄生しています。
運悪くこの中の一匹でも胃壁に留まると、食後数時間のうちに激しい腹痛、嘔吐が始まります。
私は医者になって以来、絶対、鯖は食べません。
この患者さんは、経鼻内視鏡終了約 1 時間後には、症状はほとんど消失していました。
患者さんと共にほっとしました。